9月22日(土)家族研修会

講師 : 国立精神・神経医療研究センター・精神保健研究所 薬物依存研究部 診断治療開発研究室長 近藤あゆみ先生

 今回の研修会は、前回に続いて近藤あゆみ先生の「コミュニケーションスキル~話すこと・聴くこと~」というテーマでお話をいただきました。

望ましいコミュニケーションのための5カ条として、

①アイメッセージ」を使う。
②相手に変化を望むときは批判をやめて明るく以来の口調で言う。
③相手の問題や苦労に理解を示す表現をする。
④明るき前向きな感情を表す。
⑤問題が起きた時は部分的に責任を受け入れる。
というものです。

・対立を減らし、お互いの境界線を越えないで話すこと
・想像力を働かせ正しく相手の話を理解すること
・前向きな感情を言葉で表現し伝えること
・喧嘩は100%相手が悪くないことを踏まえて話す努力をしていくことが、関係を悪くしないコミュニケーションです。

私たち家族は依存症に振り回されていて、当事者がまともな判断をしていないと考えがちです。確かに混乱する中で、身勝手に思える言動を変えさせようと必死になってしまいます。しかし、それでうまくいった家族はいないのではないでしょうか?
言いたいことは山ほどあります。
しかし、感情のままにぶつけても何も伝わりません。混乱がひどくなるばかりなのは、どの家族にもあったのではないですか?
混乱している当事者にも本当に理解して欲しい感情があるはずです。対立しないでその思いが聞き出せると関係が変わって行きます。そのためのツールがこのスキルを上げていくことなんだと今回の研修会で学びました。

7月28日(土)家族研修会

講師:国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター薬物依存研究部 診断治療開発研究室長近藤あゆみ先生「家族の回復プログラム」シリーズ第1回「薬物依存症と家族」

「薬物依存症」というものが本人や家族にどう影響を与えるのか?依存症は脳がだんだん変化していき、特定の薬物に対して脅迫的に使用したり、コントロールを喪失したりする病気であること。一時的に止めることはできても止め続けることはたいへんだけど、止め続けている人はたくさんいること。優しい語り口で、わかりやすく依存症についてお話くださいました。

本人の回復に必要なものは「薬物を止める」という第一歩・「安全な生活スタイルを作る」こと、「薬物無しで幸せに生活できるためのスキルを身につける」こと。家族は一歩下がって、仲間との関係を見守ることができるように、自分自身も仲間を作って安心できることが本人と同じくらい大切です。

今回、「薬物依存症の重症度」を判断するASIという総合的な評価についてもお話されました。本人の状況が身体や精神面・社会面から判断し数字で評価することによって可視化され、段階を経て再評価することで変化がわかりやすくなるように思いました。家族会のメンバーも実際に混乱していた時期と、回復に繋がった後での評価をしてみました。驚くほど点数が少なくなっており、自分たちの回復も手に取るようにわかったようです。

家族からの話もたくさん引き出していただき、みんなで共有できたことも私たち家族にとっては大きな回復のステップになりました。

6月23日(土)家族研修会

講師:マロニエ医療福祉専門学校の医療学科の渡邉厚司先生

テーマ 「回復と成長(新しい生きかた)を「今日一日」踏み歩むための道具としての~12のステップ~」

いつもの優しい語り口でお話をしていただきました。

私たちが生活をしている社会は産業革命以降、有能で有用なことが優先され、人間としての価値が商品として捉えられるようになりました。そんな社会を生き抜くためには、気分の変容を求めるしかなくなり、それに貢献したものは感覚を麻痺させるアルコールだったということです。依存症をユングは「魂の病」と呼びました。

私たちの生きる社会は、「存在しているだけで素晴らしい」という感覚を持てない意識構造を生み出してきました。「自分を承認できない」ことが、感覚を麻痺させることを必要とし、コントロールを失っていくひとが多くなってしまったということです。

回復していくためには、まず土台である人との関係を創っていくこと、それにはありのままの自分を受け入れることができるように支援していくことが大切です。

負の感情を見ないように棚上げしてもいつかは手元に持ってこなければならない時がきます。その時に負の感情を言葉にできると自分が扱える大きさの問題になるとのことです。自分の心の奥に潜む得体のしれない感情に向き合うことはだれしも恐怖があります。仲間と語ることで自分の中の感情に気づきがあり、それも含めての自分の存在を受け入れていけることが回復への入り口になって行きます。

今回の研修を通して、「考え」が優位の世の中で気持ちや感・相手を変えるのではなく自分の生き方を変えていくということを学びました。

「私が私の一番の理解者」であるために、自分を大切にしていきたいと思います。一日の終わりに、自分にハグを!

4月28日(土)研修会

今年度最初の研修会は、日本ダルク代表の近藤恒夫氏と、日本薬物政策アドボカシーネットワーク ディレクターの古藤吾朗氏を講師としてお招きしました。

近藤さんは、みなさんもよくご存知のダルクの創始者であられます。薬に苦しむ本人を孤独にしない、寄り添うことから始める、そんな場所が出来て回復者が増えていく。そのプラスの連鎖が今のダルクなのだと思います。近藤さんの構想はとても大きく、学校を創りたい・仕事場を創りたい・・・一度、薬物で生活が破たんすると社会的制裁が大きく、回復しても生活が成り立たない現状があります。今回のお話の中で、印象的だったのは、「当事者の失敗に寄り添う」という言葉でした。失敗を責めない、そのままを受け入れるということなんだと思います。

「薬物をやめられない。」と裁判官に正直に言えたことから回復が始まったと、いつかの講演会で聴いたことがあります。家族や近しい人たちは、当事者が「薬を止める」と言ってくれることを望み、右往左往します。でも本当に大切なことは、「薬を止めたくても止められないから、助けてほしい。」と本人が言えることなんです。

そして今回、初めてひまわり家族会に来ていただいた、古藤さん。明るく軽快に今の日本の薬物対策をひも解いてくださいました。聴きなれない言葉ですが、「アドボカシー」とは代弁者ということです。「自己の権利を表明することが困難な障害者や高齢者の代わりに代理人が権利を表明すること。」というと分かりやすいと思います。

日本の薬物対策はなぜ、暗い印象になるのか?薬物が犯罪であり、依存症の概念がまだまだ浸透していないことに起因するように思います。日本では司法の樹に多く水をやり、保健の樹にはあまり水やりをしてこなかった。一定の成果はあったが限界にきている。これからは保健の樹にもっと多くの水やりをするよう働きかけていく。

最近、芸能ニュースで話題になっている方も、アルコールに対しての報道が過熱しています。依存の問題があるとしたら、是非正しい報道をしてほしいと、心より願います。

8月26日(土)研修会

横浜保護観察所 岡野 みずほ 統括保護観察官を招いて 「薬物依存のある人の保護観察について」のテーマでお話しを伺いました。 2016年6月1日より刑の一部執行猶予制度が開始され最長で3年の保護観察が付くようになり、その間、対象者は薬物再乱用防止プログラムを受ける事が義務づけられるそうです。 家族としては この取り組みが再犯防止に繋がり薬物依存症の回復になる事を強く願います。

6月24日(土) 《家族研修会》

講師/茨城県立こころの医療センター副院長 中村 恵先生 &NPO法人 茨城依存症回復支援協会IARSA統括施設長 湊 淳也氏

今回の研修は茨城県立こころの医療センター副院長 中村 恵先生と、治療共同体でタッグを組む同じく茨城県にある[IARSA]施設長 湊 淳也さんのお話でした。

中村先生は薬物依存症者にとって先進的な治療に取り組んでこられ、茨城方式という回復プログラムとダルク終了後の受け皿として治療共同体を作られました。

先生は、軽快に話しながらも依存症に苦しむ当事者や家族の思いを汲んで治療にあたっておられることがよくわかる、暖かいお話でした。「人は生きられるしか生きられない。本人ができないことは押しつけない。できることやっていけばいいんです」。本人のことが一番わかっている先生のお言葉でした。

そして、湊さんは就労継続支援B型を運営されています。主に統合失調症を併せ持つメンバーの回復に尽力されています。「ゆっくりいこうよ」そんな穏やかな回復を支援されています。

いろんな回復があっていいんだと思える研修会となりました。

4月22日(土) 《家族研修会》 講師/日本ダルク・インテグレーション・センタ− 代表 近藤恒夫氏

日本の「ダルク」の創始者、近藤恒夫氏をお招きして貴重な体験談を語っていただきました。

印象的だったのは、ロイ神父との交流です。ロイ神父にAAに誘われた時、ロイ神父は「よろしかったらミーティングにきませんか?」と毎回誘われたそうです。「よろしければ」これは、答えを決めるのはあなたですよ、というメッセージが込められています。

「失敗した。」と話すと、「人生に失敗はない。何回やっても失敗ではない。何かを与えてくれる。」と言われ、近藤氏はその都度考えるようになったといいます。

日本の依存症対策にはアフターフォローがありません。再発したら自己責任だと言われるだけです。集団療法を地域で取り入れて、孤立を防ぐことが大切です。ひとりの考えでは間違っていてもそのまま突っ走ってしまいます。依存症の敵は「クスリ」ではなく「孤独」です。「クスリ」を止めていくことを生きがいにしながら「生命のリレー」をしていく仕組みが必要だと話されました。

学校教育には、「困った」と言える教育をしてほしいとも話されていました。「希求行動」を身につけることは命を守る大切なことだと改めて思いました。

 

体験談を語ってくれたのは、りょうくん。

少年院に入っていたけどあまり記憶がない・戻って行くのは悪い友達のところしかなくだんだんエスカレートしていったそうです。少年院にいたときに父がダルクの資料を送ってくれた。生きるすべがなかったので取りあえず京都のダルクにいったが、人と上手くやれずダルクを転々としてきた。自分の中の解決方法は「力ずく」だった。失敗を重ねようやく気付いた。社会に出たいが、何がやりたいのかが見えてこなくて、スタッフにあせるなと言われている。

そんな体験を真摯に語ってくれました。応援していますよ。

2月25日(土)家族研修会 今回は、神奈川県立精神医療センターのPSW井上恭子氏をお招きしての研修会でした。

長年、依存症者と向き合ってこられた井上氏の軽妙な語りとエピソードに、家族も笑顔が絶えない研修会となりました。

今回はファミリーカードを使っての危機回避を学びました。まず想定される危機的状況のカードを引き、回避行動のカードを2枚引きます。出てきた危機的状況に、回避カードのアイテムを使ってどうピンチを切り抜けるのか?現実にあったことと同じカードを引いた家族の方もいらっしゃって、どぎまぎしながらのワークでした。

そして、グループワーク。今困っている事例をグループの中まで知恵を出し合い、方向性を見つけていくというワークでした。思いは人それぞれ、出てきたアイディアの何をヒントにするのかは自由ですが、ひとつのきっかけになっていくといいですね。

11月26日(土)《家族研修会》 講師/横浜保護観察所統括保護観察官 柳沢真希子氏

この日の研修会は、横浜保護観察所の統括保護観察官の柳沢氏のお話でした。

「刑の一部執行猶予制度」~薬物依存のある人を支えるための視点~というテーマでした。保護観察を通じて得てほしいものということでは、

・当事者が悩みや課題を話し合うことができる関係作りや 、自尊感情を持てるようになること。

・問題解決の方法に関する知恵の習得など、薬物を使わなくても生きていけるスキルを身につけていくこと。

そういう関係を作りながら薬物再乱用防止プログラムに取り組むことが大切です。

家族は気持ちを伝えて、当事者に安心感をもってもらうことが家族にできる支援です。誰か当事者の回復を願って待っていてくれるかどうかは、回復のモチベーションに非常に大きなウェイトを占めているということです。

当事者の回復は、自分の居場所を見つけて自己実現ができること、社会の役に立つと思えることが重要になっていくとのことでした。

回復支援のプログラムに繋がり続けることはたやすいことではありませんが、回復を願っていると切に伝えることが私たち家族の支援でしょうか。

9月24日  研修会 国立精神神経医療研究センター 診断治療開発研究室長 近藤あゆみ先生

「薬物依存症者をもつ家族を対象とした心理教育プログラム」
「逮捕や裁判を本人の回復のきっかけにする」
というテーマでテキストを使ってのワークに取り組みました。家族が薬物使用を続ける依存症当事者を回復に繋げていくのは一番難しい場面です。逮捕という場面になったときに、どう捉えてそのチャンスを活かしていくのか。ひとつひとつの質問に真剣に取り組みながら、たくさんのメンバーとのやり取りの中でにぎやかに学びを進めていきました。今、まさに服役中で出所が近い方もいられる中、タイムリーな学びとなりました。