2025年4月26日(土)ひまわり家族会研修会


講師/上野ダルク 理事 篠原 義裕氏・事務局長 村澤 実氏
新年度第一回目の研修会は、このお二人をお迎えしました。日本ダルク本部から、上野ダルクに変更になった経緯などをご説明いただいた後、順番にそれぞれの人生を振り返りながら、体験をお話しくださいました。
  篠原さんは、お酒を扱う家業に生まれましたが、お酒に弱く、やがてこれがコンプレックスになっていき、酒やたばこを通しての「仲間意識」から、いろいろなものにはまっていきました。まずは、お酒。これは、コンプレックスの初めのものであり、又、手に入りやすく、篠原さんが、クリーンが続かなかった原因にもなりました。そして、大麻。これは、友達が、使っているところに遭遇し、自分から「僕にもくれ」と、言ったそうです。この言葉には、いろんな感情があるとおっしゃってました。友人から、「お前ははまりそうだ。」といわれたとおり、依存症になっていったそうです。
  学校を何とか卒業し、親の勧める寿司や和食関係の職場を転々としたそうです。
薬は止まることがなく、薬を使えば、寝坊、仕事を覚えられない、人間関係をうまく築けない・・・など、様々な問題を生み出しました。
「人との信頼関係」からは、ほど遠い生き方だったのだと思います。その後、実家に戻ったり、入院したりもしたそうです。入院先から、NAと繋がり、普通に働いている人も来る場所なんだと、興味を持つようになります。また、その時出会った保健師さんの勧めでダルクに見学に行くこととなり、少しずつ回復の道のりに乗りました。入寮してからも、回復が進んでからも、施設から飛び出たこともあったそうです。それでもいつの日か「続けていれば、いいことがある」と思える日が来て、今は助ける立場になりました。
  施設を運営すると、いろいろな問題が出てきます。でもそれを解決するためにうまくプログラムを使い、不平、不満を訴えてくる仲間のことが、本当の意味でわっかたとおっしゃっていました。家族、依存症が病気であることを伝え、家族はそれを理解し、今はいい関係に修復できてきているとのお話でした。
この話は、私たち依存症の家族には心に伝わるものがありました。
数々の失敗とともに新しい考え方や人との関係性を築き、長い年月をかけて回復の道のりに進んだ話を聞かせてくださいました。そして篠原さんのご家族の本人に対する対応や、心の底にある信じる気持ちが、いかに大切かということを聞くことができました。
  村澤さんは、お子様の不登校のお話からしてくださいました。自分を責めたこともあり、また、そのことを隠したくなる、自分の親もそう思っていたのかと、心が痛んだとのことでした。中学までは、行けなかった学校も、高校からは心機一転、通学しているとのことです。これは人は変えられないが自分はかえることができ、また娘さんを信じてあげたご夫婦の気持ちが、娘さんに伝わったのかもしれないと感じました。
  村澤さん自身のお話は、「他人に好かれたい、断りたくても断われない、本音を言えない」というところに数々のことが重なり依存症になっていく話を聞くことができました。村澤さんは、中学の頃からお酒は「いやなことを忘れさせてくれるもの」だったそうです。やがて、サッカーの試合前に、緊張をとり、よく眠れるようにと、飲むようになります。本人はそれを、「薬物に反応しやすい体」ととらえていたとのことでした。そして、自分が疲れて休みたいと思っても、友達に遊びに誘われると断わることができず、飲酒したそうです。その後、友達から「ブロン」や、「大麻」を教えられ、使うことで自分の不快感情がなくなることに気づきます。高校はお酒も含め薬物も、たまに使いながら卒業しました。卒業後、広告代理店に就職しましたが、兄のいる会社、周りは大学卒業の人ばかり、年上の人を相手にしなくてはならないなど、多くのプレッシャーがかかり、その苦しみを話せる人がいなかったこともあり、苦しみました。その時頭に「市販薬があった」と使いはじめます.。薬物にお金を費やし、破綻し、盗みをするといった、生活になりました。家族にバレて、その時は心療内科で診断してもらいました。内服薬と家族のかかわりの中、アルバイトをするまでになりますが、また体調が崩れ、再度薬物に頼るようになり、今度は精神科の閉鎖病棟に入ったそうです。入院中に免許の更新で外出した時、使わずに帰れたことで、やめてみようかと考えるようになり、また、家族は家族会で学んでいたことで、少しず
つ回復に向かいました。ダルクに入り、その後も飛び出したりもしましたが、家族は家に入れなかったそうです。また、施設内でも、「今日はやめておこうかな」と思える日ができてきて、人の話に耳をかたむけ、心を開き正直に話すことを続けたそうです。その後回復を続け一度は退寮し、家族のもとで、タクシーの運転手として働きますが、心臓を患ったことでやめて、今の施設での仕事につくようになったとのことでした。
このお二人の話を聞いて感じたことは
①自分(弱点を含めた)を知ることの大切さ
②自分だけで頑張らず、人に頼ることも必要
③依存症のプログラムは、毎日の生活の中で役立つ
④自分の健康な心と体を意識する
⑤家族が家族会で学ぶことはとても大切
ということでした。
  人は、自分にはできる、自分でなんとかしなければ、と思いがちです。特に依存症に関しては自分、家族だけではどうにもならないのです。そして依存症に関する問題だけでなく、生きていれば、さまざまな困難が日常を襲います。病気、介護、依存症じゃないほかの家族にのしかかってくる問題・・・。それらを、自分ひとりでどうにかできる。。と、思わないこと。専門家や、他人にお任せすることが大事で、なおかつ効果があるということ。これらの考え方は依存症のことを学んだおかげです。このことを今回のお二人の話の中から、あらためて感じ取ることができました。そしてそれができたとき、私たちは自分の成長だと、素直に感じ取っていきたいと思います。明日からの「今日一日」を、安心と、希望ですごしていくために。。