2021年3月27日(土)家族研修会「家族の回復プログラム」①

講師:群馬ダルク施設長 福島 ショーン氏 ・ 代表  平山 晶一氏

 今回は群馬ダルクより、平山晶一氏と福島ショーン氏を招いて「家族会のプログラム」の研修会を行いました。

平山氏は横浜出身の方で、高校生の時に薬物を使用し始め、すぐに止まらなくなったといいます。使っていてもすぐにつらくなり、回復の中で癒されてきたとのことです。横浜ダルクのセナさんと同期で一緒に回復の道を歩んでこられました。コロナ禍でzoomでの研修会も多いそうですが、こうして対面でうなずいてもらえるだけでもうれしいと話されていました。

福島ショーン氏は座間キャンプ内で育ち、15歳でブロンを飲み始めたそうです。ハワイでアメリカの回復プログラムを勉強し、群馬ダルク独自の家族プログラムを実施しています。

 コロナ禍では、家族や本人からの相談が増えているといいます。孤立していたり薬物が手に入りにくかったりと原因はさまざまのようです。電話相談や家族間のネットワークを利用するのも一手です。

ショーン氏が回復プログラムにつながったころはまだ「突き放せ」と言われていた時期で、母親に突き飛ばされた様な感じがするそうです。今は、考え方もずいぶん変化し、いろんなことをやってみようという取り組みになっています。群馬ダルクでは家族にも一緒に考える方法をとり、自分たちに置き換える参加型に取り組んでいます。

 依存症の現場でよく耳にする「共依存」という言葉ですが、説明するのは難しいです。今回、「共依存」を6つのタイプに当てはめて説明をしてくださいました。

まず①コントロール:コントロールにも「支配する」「支配される」の2種類があります。子供のころはある程度保護者が支配することで成長していきますが、依存症になってしまうと反発しコントロールしようとします。

支配関係も入れ替わりがあり、お金を要求して支配しようとしますが、お金を親が渡した瞬間に支配が逆転していきます。お金に支配されていきます。要求に付き合わなければ共依存は成立しなくなります。「期待」と「理想」を手放せば支配からはなられると、私たち家族には大きな決断が必要な言葉を聞いたように感じました。薬の問題が大きい時は「生き延びてさえくれればそれでいい」と思っていても、回復してくると欲が出て、理想が出てきてコントロールしようとしてしまいます。親が思うようにできなくても認めてほしいと話していました。②悲劇のヒロイン:ドラマクイーンは「なんで私だけ?」こんなにつらいのはまわりのせいだとか、自分のせいだとか自己憐憫に陥ること。「私は私」になれないことから起こります。日本人は自分を責める傾向にあるそうです。家族の持つ罪悪感が依存症者にも罪悪感を背負わせてしまったり、家族が持つ罪悪感に依存症者が付け込んだりして、よい結果にはならないので責めたくなるくらいなら離れたほうがよほどいい関係になるとのことです。家族もプログラムを受けて元気になることにより、本人も変化していきます。

③ピープルプリーザーは、なんでもやってあげる人のことを指します。共依存と呼ばれる最たるもので、やってあげて喜ばせることがうれしい・自分は犠牲者で余計なこともしてしまいます。他人が中心にいて「自分が気持ちいい」もしくは「やらないことが罪悪感」になり本人にも自分にも害があります。依存症者本人にとっては最高に都合のよい家族です。

④ドアマットは、本人が起こした問題の後処理を家庭でする。つまり尻ぬぐいとなります。家族は「やらない。あなたのために生きているんじゃない」という気持ちを持つことが大切です。

⑤ウォールフラワーは父親に多いタイプでただ立って観ている。上から目線でみて時々中途半端に関わってくることです。半端なくらいなら、何もしないほうがよいといいます。

⑥エンパスは何でも共感する人。おかしいと思ってもやってしまい疑わない人のことです。危機感がなく騙されやすいので都合がよい人です。共依存の中では大変な部類になります。

 共依存は連鎖します。ふつうは家族のために動くことはいいとされますが、依存症が生まれてしまうと通用しなくなります。共依存はコントロールの病です。変えるチャンスはあります。家族はいろいろ勉強しておくことが必要です。依存症者と距離をとること、分離していく教育をすることを大切にして家族へのプログラムを開催しているとのことです。親の責任は、子供を自立させることです。

軽快な語り口のお二人にたくさんのことを学びました。次回は「機能不全家族」についての研修会となります。お楽しみに。