2021年1月23日(土)家族研修会

講師:日本ダルク代表 近藤 恒夫氏

インテグレーションセンター 上野 カハナ所長  高橋 仁氏

弁護士 高橋 洋平氏

今回は、日本ダルク代表の近藤恒夫氏、インテグレーションセンター上野カハナのひとしさん、弁護士でアパリ嘱託研究員の高橋洋平氏がひまわり家族会にきてくださいました。

 近藤氏は昨年、体調を崩され入院をされていたとのことでしたが、元気な顔を見せてくださいました。近藤氏は以前から、ダルクに学校を作りたいと話しておられました。沖縄宮古島の教会を使ってその夢が実現していくようです。

 アルコールや薬物に問題を抱えている人たちは高校中退者が多く、回復の道に入ってもいい仕事に就きにくい現状があります。収入が低かったりやくざの世界に入ってしまったり生活がままならないことが多くなる傾向にあります。少年院に入っている人たちの中には、勉強をもう一度やりたいと思う人が多いようです。

 近藤氏は刑務所を出て8年間、ミーティングに出続けたそうです。「薬物は一人では止められない・仲間が必要。仲間を増やすことを考えダルクを創った。ダルク後はどうするのか、これからの大きな課題。」と話されます。当事者が依存症者の支援をしていくことは合理的で当事者が胸を張って生きていく手助けになります。依存症について次世代の人に早く理解してもらえるようにスタッフには勉強が必要とされます。

 家族は心配しないで子供が旅をして荒波にもまれて、いろいろな人の力を借りることを覚えていく過程を見守ってほしいと話していました。いい友・悪い友関係なくつくればよいとも。そして家族も癒しの場所をもってくださいと!

 インテグレーションセンター上野カハナのひとしさんは、約20年近藤氏のもとで勉強をされていました。今回独立して依存症回復施設を創りました。施設の名前の意味は「差別しない」「ターニングポイント」だそうです。独立することをなかなか近藤氏に言い出せなかったのは自信がなかったことと、親より長く一緒にいたので申し訳ない気持ちがあったとのことです。しかし、「自分がやりたいことをやればいい」と気持ちを決めたといいます。「何ができるわけではないが、仲間に寄り添って孤立させない」という気持ちでやっていきたいと話されていました。近藤氏がよく言う「おっぱいが欲しければ泣きなさい」ですが、ひとしさんは泣き方がわからず困ったそうですが仲間のためと言い聞かせ、資金集めに奔走しているとのことでした。近藤氏との仲がよくわかるハートウォーミングなお話でした。

 弁護士の高橋氏は「新しい弁護のあり方~更生と回復の型」をテーマにお話をしてくださいました。弁護士としての第一歩は、近藤氏に判決を下した奥田弁護士との薬物事犯だそうです。(当時は裁判長)それがきっかけで近藤さんやダルクと関係ができ、藤岡ダルクの琉球太鼓の旗持ちをされているそうで、仲間として受け入れてもらえた感じがしてうれしかったと話していました。事件のこともダルクの人に相談できることもありがたいと。

 リーガルサポートについての話では、裁判官のなかには薬物依存症について理解してくれる人も少しずつ増えてきて判決も様変わりしてきているけれど、理解には個人差がありまだまだ時間がかかりそうです。起訴されなかったけれども治療に必ずつながるわけではなく、また合法ドラッグはそもそも逮捕されないので治療につながりにくい傾向にあります。家族としてはどちらもつらいです。違法でも合法でも、薬物を使わない生き方ができるように支えていく社会になっていけばよいですね。

 高橋弁護士のような方が増えていくことを切に願いました。