11月24日(日)家族研修会

 「保護観察における薬物事犯者の処遇について」 横浜保護観察所  統括保護観察官 中野智之氏

 今回は横浜保護観察所の統括保護観察官の仲野氏をお招きして、「保護観察における薬物事犯者の処遇について」というテーマでお話をしていただきました。

 更生保護とは「犯罪をした者及び非行のある少年に対し、社会内において適切な処遇を行うことにより、再び犯罪をすることを防ぎ、またはその非行をなくし、これらの者が善良な社会の一員として自立し、改善更生することを助けるとともに(中略)犯罪予防の活動の促進等を行い、もって、社会を保護し個人及び公共の福祉を増進することを目的とする。(更生保護法第1条)」を基本としています。犯罪をした人や非行のある少年が健全な社会の一員として更生するように、実社会の中で保護観察官と保護司が協働して指導監督・補導援護を行う制度です。保護司はボランティアで、無給ですが、犯罪や非行をした人たちの立ち直りを地域で支える大きな役割を果たしています。法務大臣から委嘱された保護司は保護観察官に協力して保護観察・生活環境の調整・犯罪棒の活動などを行っています。

 保護観察を通じて犯罪をした人たちに得てほしいのは、

・悩みや課題を話し合うことのできる関係作り

・自分が大切に思われる経験

・問題の解決方法に関する知恵の習得などで、生きづらさが和らぐようになる方法を知っていくことだそうです。

地域に密着した人間味のある処遇を目指しているとのことでした。

薬物事犯は再犯率が高く、保護司もどうしたらよいのか難しいようです。

薬物事犯に特化した保護司が存在するわけではないのです。専門的な保護司を養成する制度はない状態です。

 保護司になるための要件や、地域を超えて保護司活動ができるのかなど会場からの質問にも丁寧に答えていただきました。また、保護観察所で薬物事犯者の依存症の認識については、特に判断はしていないそうです。薬物事犯者には回復プログラムを受けてもらい、継続的に支援していきたいとのことでしたが、プログラム終了後はNAなど自助グループにつながるほか、支援がない状況です。

 刑の一部執行猶予制度ができ、刑罰から治療へと制度は少しずつ変わってきましたが、犯罪者ではなく病者としての医療・福祉の支援がつながっておらず、地域の受け皿がもっと充実させ、生きづらさを軽減する切れ目のないサポートを望みます。