今年度最初の研修会は、日本ダルク代表の近藤恒夫氏と、日本薬物政策アドボカシーネットワーク ディレクターの古藤吾朗氏を講師としてお招きしました。
近藤さんは、みなさんもよくご存知のダルクの創始者であられます。薬に苦しむ本人を孤独にしない、寄り添うことから始める、そんな場所が出来て回復者が増えていく。そのプラスの連鎖が今のダルクなのだと思います。近藤さんの構想はとても大きく、学校を創りたい・仕事場を創りたい・・・一度、薬物で生活が破たんすると社会的制裁が大きく、回復しても生活が成り立たない現状があります。今回のお話の中で、印象的だったのは、「当事者の失敗に寄り添う」という言葉でした。失敗を責めない、そのままを受け入れるということなんだと思います。
「薬物をやめられない。」と裁判官に正直に言えたことから回復が始まったと、いつかの講演会で聴いたことがあります。家族や近しい人たちは、当事者が「薬を止める」と言ってくれることを望み、右往左往します。でも本当に大切なことは、「薬を止めたくても止められないから、助けてほしい。」と本人が言えることなんです。
そして今回、初めてひまわり家族会に来ていただいた、古藤さん。明るく軽快に今の日本の薬物対策をひも解いてくださいました。聴きなれない言葉ですが、「アドボカシー」とは代弁者ということです。「自己の権利を表明することが困難な障害者や高齢者の代わりに代理人が権利を表明すること。」というと分かりやすいと思います。
日本の薬物対策はなぜ、暗い印象になるのか?薬物が犯罪であり、依存症の概念がまだまだ浸透していないことに起因するように思います。日本では司法の樹に多く水をやり、保健の樹にはあまり水やりをしてこなかった。一定の成果はあったが限界にきている。これからは保健の樹にもっと多くの水やりをするよう働きかけていく。
最近、芸能ニュースで話題になっている方も、アルコールに対しての報道が過熱しています。依存の問題があるとしたら、是非正しい報道をしてほしいと、心より願います。