9月29日(日)秋の市民公開講座

マロニエ医療福祉専門学校医療学部学科長 渡邊厚司先生の 「依存症は回復できる病気です」〜共依存からの家族の回復〜 と題した講演や家族の体験談と薬物依存症の本人体験談を行いました。

 家族の体験談は、楽多さんでした。薬物依存症である息子さんは、4年目のバースデーを迎えられたとのこと。5年前に7回目の入院のため、病院に送っていったときの富士山の光景が忘れられないと話されていました。一番印象的だったのは、息子さんが中学生の時に、当時の校長の花道を汚すなと学校から言われたというエピソードでした。今ならマスコミが食いついて大騒ぎになるような学校対応だと思います。入院先の病院で親の共依存を指導されていたそうですが、狂っていく息子を抱えて将来を絶望していた・家族が病んでいたと話されました。同じような感情は私たち家族会のメンバーも少なからず共有しています。だからこそ共感し、癒されていくのだと思います。社会の偏見を変えていくためにひまわり家族会の世話役を引き受け、これからも頑張っていきたいと力強いお話でした。

 依存症の当事者からは湘南ダルクのスタッフ・カズさんのお話でした。実家は中華料理屋を営んでおり、お父さんがずっと一緒にいる環境で育てられたそうです。お父さんはアルコールに問題があり暴力・暴言におびえて家族の中で問題を起こさないように生活をしていたとのことです。お父さんが事故にあったときにも「死んでしまえばいい」と感じていて、今も自分自身はとても傷ついていると言っておられました。親のようにはなりたくないと思っていたけど、アルコールが薬に変わっただけで同じだった・世代間連鎖を痛感したとのことです。 「自分の考えは間違いだらけだけど、今は一人で抱え込まないようにしている。依存症になり12ステップに出会え、回復していける。依存症になってよかった。」と締めくくっていました。

渡邊先生の研修会は、いつもの優しい語り口で始まりました。まず、共依存とはどんな状態のことかというと、自分の感情がわからない・他人のことで頭がいっぱいになる・他人の行動に反応する・他人のことに没頭して自分の優先事項を保留する・他人、職務、または状況についての責任を取る・否認システムに巻き込まれているという特徴があります。  家族間では見えない役割を無意識に背負っています。父であることや母であることは変えられないけれど、お世話をする人・怒る人、問題を起こす人・逃げる人などいつもの役割に気づき、それを回避すること、止めてみることから家族内に変化が表れ始めます。他者を変えるのではなく、自分の役割を降りてみる・一歩外から家族を俯瞰してみることが変化の第一歩になっていくことを伝えてくださいました。

 家族の中で問題が起こると、家族間の距離が一気に縮まり混乱してしまいます。境界線を越えないという意識が家族の問題を解決していくことに役立ちます。間にテーブルを置いてそれを超えない・話はテーブルに置くイメージでそれを受け取るか受け取らないかは本人の問題。支配やコントロールを避けて新しい関係を作っていくことが家族の回復につながっていきます。  渡邊先生が教えてくださるいろいろな感情の整理のツールにどれだけ救われてきたことかわかりません。新しい仲間にも伝えていきたいと思います。